魔女狩り1

今でも盛んに魔女狩りが行われている地域が存在する。アフリカやブラジル、パプアニューギニアなど、それらの地域が後進国であることから、おおよそ未開の地域の話かと思っていたが、どうもそうではないらしい。私たちと同じような格好をした、近代化された人々も、魔女狩りを行っているのだ。

そんな世界の状況を、今日は紹介したい。


パプアニューギニア“魔女狩り”殺害者には死刑適用

 南太平洋のパプアニューギニアで“魔女狩り”が深刻化している。「魔術を使った」とされた女性が相次ぎ惨殺され、議会は12日までに、反逆罪などに限定されてきた死刑の対象範囲を拡大し、「魔術」を理由にした殺人の加害者にも適用できる法改正案を可決した。 
 地元紙によると、20歳の女性が2月、公衆の面前で暴徒らに焼き殺され、「女性が魔術を使って男の子を呪い殺したため(暴徒らに)報復された」と伝えられた。
 共同電によると、国連人権高等弁務官事務所は、パプアニューギニア政府に対策を要求。同国には、人に害を及ぼす“黒魔術”を使った人を罰する「魔術法」があり、“魔女”の烙印(らくいん)を押された女性が暴力を受けやすい状況が続いていたため、政府・議会は今回、同法の廃止も決めた。 

スポニチより 
http://www.sponichi.co.jp/society/news/2013/06/13/kiji/K20130613006001950.html

これは2013年の記事である。少なくとも2013年までは黒魔術を罰する「魔術法」なるものが存在していたことには驚きを隠せない。
どうも我々が信仰する「近代科学」という宗教は、世界のすべての人々が受け入れている普遍の世界観というわけではないらしい。


中小の村落などでは自然崇拝も根強く残っており、人の死や病気や事故などの不幸は魔女のせいだと、呪術師が魔女と認定した罪のない女性を火あぶりにする「魔女狩り」の風習が残っている。これらは犯罪であり、政府は魔女狩りを含む「黒魔術」を法律で禁止するなどの対策をとっているが、貧困と教育の不備にあえぐ地域では根絶に至っていない

ウィキペディア-パプアニューギニアより
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%91%E3%83%97%E3%82%A2%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%AE%E3%83%8B%E3%82%A2


関連記事
アムネスティインターナショナル「パプアニューギニア:独立以来の死刑執行が近づく」
http://www.amnesty.or.jp/news/2013/0611_4011.html


魔女狩りの習慣・迷信は、主に貧困国において残っている。このことから、これは貧困層のストレスや怒りの矛先を、同じ貧困層の人間に向けさせるための仕組みであるようにも見える。
さて、次はブラジルのニュース

ネットの噂で「魔女狩り」聖州で女性をリンチ殺人

サンパウロ州海岸部グアルジャーで3日、「子供を誘拐し黒魔術の儀式で殺している」という噂を信じた人々からリンチに遭った女性が2日後に死亡するという痛ましい事件が起きた。
(中略)
 発端はフェイスブックの「グアルジャー・アレルタ(警報)」で流れた黒魔術誘拐犯の噂だ。掲載された写真は2年前リオで起きた乳児誘拐未遂犯のモンタージュで、リオ出身のファビアーネさんに似ている。
 ファビアーネさんはカトリック信者で、同市内では行方不明になった子供もいない。だが、子供を二人亡くして双極性障害を患い、思考が飛ぶことがあった。加えて事件当日に彼女が持っていた聖書を黒魔術の本と混同し、誘拐犯だと思い込んだ住民たちは、自分たちで懲罰を下そうとした。
 友人に貸した聖書を受け取って帰宅する途中のファビアーネさんを捕まえた一団は、彼女を縛り上げて殴る、蹴る、髪の毛を掴んで引きずるなどの暴行を加えた。ファビアーネさんは頭を角材で殴られて頭蓋骨骨折の重傷を負ったほか、失神後も頭を自転車で轢く、片手にロープを縛りつけて引きずるなど、暴行はエスカレートした。
 ファビアーネさんは別の住民から通報を受けた警官により病院へ運ばれたが、5日朝死亡した。

ニッケイ新聞より
http://www.nikkeyshimbun.jp/2014/140508-23brasil.html

この事件の動画は多数Youtube 上に残されている。被害者をリンチしながら、市民たちが自ら撮影した映像である。残酷な映像なので、そういったものが苦手な方は再生しないように。


「ネットde真実」ほどアテにならないといういい例だろう。現場の様子を写した映像を見ると、彼らはスマートフォンで動画撮影をしているし、まったく情報化されていない未開の人々というわけではないむしろ今回の事件のきっかけはフェイスブック上の「噂」である。
文明的な機器を手にし、ネットに接続できる状況であっても、それは彼らの野蛮さを加速させるに過ぎなかった。貧困と教育の不備が彼らに落としている影は大きい。
これは対岸の火事とは言い切れないだろう。上記の通り、彼らは文明化された、ほとんど私たちと変わらない人々である。それが、貧困・教育の不備によって目を奪われているのである。
私たちも、貧困に叩きこまれたら、どうなるかはわからない。私たちはともかく、私たちの孫やその子孫たちはどうだろうか。ネットが真実を与えてくれるとは限らない。
フェイスブックを炎上させたり、他人を陥れることに躍起になりがちな私たちにも、彼らのような凶暴性の芽があるように思えてならない。